【第8回】教えて!初めての在宅介護~訪問看護とは?~

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リガクラボの連載「教えて!初めての在宅介護」では、初めての介護への疑問・不安についてお答えするべく、在宅介護に関する情報を紹介しています。

第7回の記事では、自宅で介護する際に利用できる訪問介護(ホームヘルプ)についてご紹介しました。第8回となる今回は、訪問看護についてお話ししていきます。

PROFILE

今回の質問者:Eさん (48歳・女性

・70代の母親が持病の糖尿病に加えて脳梗塞になり、右半身の麻痺があり車いすを利用している。
・排尿障害もあるため、医療的ケアが必要。
・母親は父親と二人暮らし
・Eさんは両親とは離れた場所に夫と子どもと住んでいて、両親を心配している。
・母親の要介護度:要介護2

Q. 医療的ケアが必要な70代の母がいるのですが、同居の父親は高齢で自身も遠方に住んでいるため、通院などの手伝いができません。母に十分な医療を受けさせてあげられないのではないかと心配です。

A. お母様が通院されることが困難で、十分な医療を受けられないのではとご心配されているのですね。お母様の場合、訪問看護の利用を検討してみてはいかがでしょうか。訪問看護を利用すれば、医療的ケアが必要な方はご自宅で医療処置も実施してもらえます。

訪問看護とは、利用者が可能な限りご自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、利用者の心身機能の維持回復などを目的として、保健師・看護師などが疾患のある利用者のご自宅を訪問し、主治医の指示に基づいて療養上の世話や診療の補助をおこなうサービスです。必要に応じて理学療法士、作業療法士または言語聴覚士が訪れることもあります。

では、訪問看護とは具体的にどのようなものなのか、利用するにはどうすればよいかをお話ししたいと思います。

訪問看護とは?

訪問看護師が食事や排泄等の様々な療養上の助言をおこない、利用者の健康状態の安定に努めます。また、バイタルサインをチェックし、心身の健康状態や障がいの状態を観察し、状態に応じた助言や緊急対応、予防的支援をおこないます。

さらに医療的ケアが必要な重度の方に対しては、主治医と連携を強化し、医療処置や医療機器の管理・指導もおこない、最後までその人らしく尊厳のある生活を送ることができるようにサポートします。

訪問看護を利用するには?

介護保険の訪問看護の対象者は、第1号被保険者と第2号被保険者の人です。

●第1号被保険者
65歳以上の方で、要支援・要介護と認定された人
●第2号被保険者
40歳以上65歳未満の方で、16特定疾病疾患の対象者で要支援・要介護と認定された人

介護保険で訪問看護を利用する場合は、本人・家族が主治医に訪問看護を依頼し、医師が必要であると認めれば、居宅介護支援事業所のケアマネジャー等のケアプランに訪問看護を組み入れてもらいます。その後、依頼を受けた訪問看護ステーションは主治医から「訪問看護指示書」を受けて、ケアプランに沿った訪問看護計画に基づいて訪問看護を実施します。

Eさんは遠方にお住まいとのことで大変かとは思いますが、まずは主治医もしくは担当のケアマネジャーなどに相談してみてください。

*16特定疾病疾患とは(厚生労働省ホームページ)

Q. 自宅で看護を受けられるのはとても心強いです。具体的にはどういったサービスを受けられるのでしょうか?また、どのくらいの頻度で来ていただけて、費用はどれくらいかかるのかも知りたいです。

A. 訪問看護では、病状に応じて、次のようなサービスを受けることができます。

  • 血圧、脈拍、体温などの測定、病状のチェック
  • 排泄、入浴の介助、清拭、洗髪
  • 在宅酸素、カテーテルやドレーンチューブの管理
  • 褥瘡の処理
  • リハビリテーション
  • 在宅での看取り など

Eさんのお母様の場合、排尿障害に伴う膀胱留置カテーテルの管理の方法など、お母様と同居されているお父様だけでは難しい医療的なケアを訪問看護師に実施してもらえます。また、入浴介助や食事のアドバイスなども受けられるので、いろいろと相談をしてみるとよいでしょう。

訪問看護の頻度や回数、かかる費用は?

訪問看護の訪問頻度は、対象の保険が医療保険か介護保険かによって異なります。Eさんのお母様は介護保険を利用しているので、次のようになります。

  • 介護保険利用の場合、訪問看護の回数に制限はない
  • 1回20分、30分、1時間、1時間半の区分がある
  • 要介護度の支給限度額によっては1カ月の上限が決まっているので、上限を超えた場合は自費になる

利用の頻度や時間については本人や家族の希望を聞いて決定されますが、病気や状態によっては毎日来てもらうことも可能です。

なお、費用についてはサービスの類型や時間などによって異なります。下記のページをご参考にしてください。

介護サービス情報公表システム 公表されている介護サービスについて「どんなサービスがあるの?-訪問看護」(厚生労働省)

Eさんが訪問看護を活用して、ご家族の皆さんが安心して過ごせるように応援しています。

※介護サービスの内容などには地域差があります。
※この記事は2023年6月7日時点での情報で作成しています。
※この記事は、以下、厚生労働省を含む各コンテンツならびに各文献を参考に作成しています。

介護サービス情報公表システム 公表されている介護サービスについて「どんなサービスがあるの?-訪問看護」(厚生労働省)
訪問看護のしくみ(厚生労働省)
『医療福祉総合ガイドブック 2021年度版』.医学書院.2021.p35

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