【後編】仕事と介護の両立 職場の制度を把握してみませんか?

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要介護状態や寝たきりの状態を防ぐために

読者の皆さんやご家族ができる介護予防を教えてください。

城岡さん:要介護状態や寝たきりの状態を防ぐためには、健康な状態と要介護状態の中間の段階である「フレイル(加齢により心身の機能が低下し、健康状態や社会的な面などが弱まっている状態)」の対策を行うことが重要です。
フレイルの特性は、可逆性があることです。つまり、フレイルの段階で対策を行うことで、健康な状態に戻ることが可能となります。フレイル対策には、運動・栄養・社会参加の3つの柱が重要となってきます。運動としては、なるべく階段を使う、5分長く歩くなど、ちょっとしたことから身体活動量を増やしていくとよいでしょう。栄養として、高齢期には特にたんぱく質の摂取の重要性が挙げられています。社会参加としては、就労や余暇活動、ボランティア等を通して、他者とのつながりを持ち続けることが大切です。

今はまだ仕事と介護の両立に直面していない読者の方やこれから両立する予定の読者の方に対して、城岡さんと石田さんからメッセージをお願いいたします。

城岡さん:「お世話になった親に対し、自分が介護しなければ」そう思う方が多くいらっしゃいます。もちろん、その恩返しの気持ちは素晴らしいですが、ご自身の仕事や夢を大切にすることも重要です。自分自身で介護しすぎず、「介護のプロに任せる」「介護保険外サービスもうまく活用する」こともぜひ、選択肢に入れてみてください。

石田さん:前編でも触れましたが、出産・育児に関する話題と異なり、介護に関する話題は、なかなか周囲に話しにくい場合が多いです。ただ、超高齢化社会・日本において、介護は、誰もが直面する可能性のあるライフステージです。ご自身だけではなく、隣で働いている同僚も、ある日突然、仕事と介護を両立しないといけない状況になることもあるでしょう。介護をネガティブに捉えすぎず、「個人の課題」から「みんなの話題」へ転換し、皆でオープンに話し合える雰囲気づくりも大切だと思います。

おわりに

全2回にわたり、仕事と介護を両立するための事前準備や両立支援制度、介護予防などをご紹介しました。ご自身の心と身体のために、制度をうまく利用し、介護のプロに任せることも大切だと知ることができました。この連載記事をきっかけに、仕事と介護の両立について考え、事前準備を始める機会になれば幸いです。

リガクラボでは、他にも初めての在宅介護について、連載記事を掲載していますので、ぜひご覧ください。

【第3回】教えて!初めての在宅介護〜切っても切れないお金の話〜 【第6回】教えて!初めての在宅介護~出張や残業のある仕事と介護を両立するには?小規模多機能型居宅介護~
前へ:事前に支援制度を把握しよう!

PROFILE

城岡 秀彦(しろおか ひでひこ)

城岡 秀彦(しろおか ひでひこ

株式会社日本総合研究所 リサーチ・コンサルティング部門 高齢社会イノベーショングループ マネジャー/理学療法士
東京湾岸リハビリテーション病院およびシンガポール国立大学病院での臨床・研究業務に従事後、日本総研に入社。主に、介護・障害者福祉領域における民間企業コンサルティングおよび官公庁調査を担当。

PROFILE

石田 遥太郎(いしだ ようたろう)

石田 遥太郎(いしだ ようたろう

株式会社日本総合研究所 リサーチ・コンサルティング部門 高齢社会イノベーショングループ シニアマネジャー
国内シンクタンク、医療介護事業会社、大手監査法人系FASを経て、日本総研に入社。主に、ライフサイエンス・ヘルスケア領域における民間企業コンサルティングおよび官公庁調査を担当。