【第10回】教えて!初めての在宅介護~働きながら特定の時間帯に体調が不安定な母を介護するには?~

タイトルとURLをコピーしました。
    1 2

リガクラボの連載「教えて!初めての在宅介護」では、初めての介護への疑問・不安についてお答えするべく、在宅介護に関する情報を紹介しています。

第9回の記事では、自宅で入浴の介護を受けられる訪問入浴介護についてご紹介しました。第10回となる今回は、特定の時間帯に体調が不安定な母親の介護と仕事の両立を目指す方のお悩みについてお答えしていきます。

PROFILE

今回の質問者:Kさん (52歳・女性

・80代の持病(難病)のある母には、脳梗塞の既往症もある。午前中は体調が不安定で、自宅での見守りが必要。
・平日は正社員としてフルタイムで働いている。
・現在母親と二人暮らし
・母の要介護度:要介護2

Q.要介護2の母の在宅介護をおこなっていますが、母は午前中に体調が不安定になりがちです。フルタイムで働きながら、母の見守りができるように勤務先に仕事の調整を相談しても良いでしょうか。

A. お仕事をされながら、お母様の在宅介護をされているのですね。午前中に体調が不安定になりがちなお母様の体調に合わせて在宅勤務などができる体制が整うと心強いですね。

そのためには、「仕事と介護の両立支援制度」を利用するのがおすすめです。例えばフレックスタイム制度や在宅勤務制度などで就業時間や勤務場所を調整することで、見守りや介護の時間が確保しやすくなります。

なお、今回はフレックスタイム制度と在宅勤務制度の利用を例にお話ししていきますが、勤務先によって利用できる制度は異なります。実際には、ご自身の勤務先でどのような両立支援制度が利用できるか確認をしてみてください。

「フレックスタイム制度」と「在宅勤務制度」とは?

フレックスタイム制度は、一定の期間についてあらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、労働者が日々の始業・終業時刻、労働時間を自ら決めることができる制度で、仕事と生活の調和を図りながら効率的に働くことができます。例えば、お母様の体調が悪い午前中はご自宅でお母様を見守り、12時出社、20時退社などで勤務時間帯を調整できる可能性があります。また、お母様の診察時間に合わせて早めに勤務を切り上げ、診察に同席して医師に状況を確認したり、心配なことを相談したりできます。

在宅勤務制度は、勤務場所に関する会社独自の制度です。例えば週1回自宅で勤務する日を決めて、その日はオンラインで会議やミーティングに参加するなどして、通勤せずに仕事ができます。Kさんがご自宅で仕事をしている日に、お母様の訪問診療を利用することも可能です。

Q.勤務時間を調整できると、見守りや日常生活の支援をしやすくなり助かります。ただ、日々の食事準備や入浴、月数回の通院にも介助が必要で、時間のやりくりができるか不安が残ります。

A. フレックスタイム制度や在宅勤務制度などを活用して、Kさんがご自宅にいられる時間を確保することに加えて、「介護保険制度等による支援やサービス」を組み合わせて利用すれば、お母様に必要なサービスをさらに受けやすくなります。

夕食の準備や入浴介護は、訪問介護と通所介護を組み合わせて対応することが可能です。例えば、日中は通所介護を週2日利用し、施設で食事や入浴を済ませてお母様に帰宅してもらうようにしてはどうでしょうか。さらに、夕方からの対応として、訪問介護を週5日(平日17時~18時30分)利用します。Kさんはお仕事を終えて帰宅するのが20時以降になってしまいますが、夕食の準備から食事の介助を依頼することで、夕食はお母様に先に食べてもらうことができます。また、5日間の訪問介護のうち、1日は入浴介助もお願いすると良いでしょう。

なお、通所介護は一日利用や半日利用、数時間での利用など、そのサービス時間は事業所によって異なります。ケアマネジャーに相談して、ご本人やご家族の状況にあった時間帯に利用できると良いですね。

入浴に関するサービスについては、訪問入浴介護といった制度もありますので、詳しくはこちらの記事も参考にしてください。

【第9回】教えて!初めての在宅介護~訪問入浴介護とは?~

医療に関しては、難病で通院が難しいのであれば、訪問診療を利用して自宅で医療を受けることもできます。利用を検討する場合は、ケアマネジャーに相談してみましょう。

出典:平成29年度版「仕事と介護両立のポイント あなたが介護離職しないために」(厚生労働省)

仕事と介護とを両立させるための6つのポイントや支援制度などについては、下記の記事でご紹介していますので参考にしてください。Kさんが仕事を続けながら、お母様の介護と両立していけるよう応援しています。

【第5回】教えて!初めての在宅介護~働きながら認知症の母を介護するには?~

※介護サービスの内容などには地域差があります。
※この記事は2024年2月14日時点での情報で作成しています。
※この記事は、以下、厚生労働省を含む各コンテンツならびに各文献を参考に作成しています。

職場の両立支援に関する制度(厚生労働省)
平成29年度版「仕事と介護両立のポイント あなたが介護離職しないために」(厚生労働省)

次へ:おわりに
    1 2