【後編】認知症にならない生活へ 予防につながる、自宅で簡単にできる運動
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「認知症」とは、脳の障害によって、今までできていた日常生活や社会生活に支障をきたすようになった状態を指します。生活習慣とかかわりがあり、定期的な運動やバランスの良い食事が予防につながることがわかっています。
前編では、認知症の基礎知識と、運動や食事による予防対策をご紹介しました。後編となる今回は、認知症予防につながる「自宅で簡単にできる運動」をご紹介します。また、認知症の方に接する際のポイントも解説していきます。
【特集】認知症にならない生活へ
自宅で簡単にできる運動で認知症予防
ストレッチ
はじめに、運動前の準備運動としてストレッチ運動をおこないましょう。身体のストレッチ運動に合わせて、呼吸リズムを整えるのがポイントです。
きっこう運動
きっこう運動とは、身体の左右で同時に別々の動きをする運動のことです。例えば、右手をグーの形に握って前に突き出し、同時に左手はひざの上でパーの形に開く運動などです。
左右異なる動きに意識を向けた運動をおこなうことで、認知機能に関与する脳の領域の活性を図ります。ゆっくりとした簡単な動きから始め、慣れてきたら運動のスピードや難易度を上げていきましょう。
筋力をつける運動
筋力をつける運動は、息はこらえず、回数を数えながら運動することがポイントです。10~15回を1セットとして、3セットを目標にしましょう。頻度は週3回程度を目安にします。その際、自分の体力に合わせて無理せずおこないましょう。
スクワット
足を肩幅ぐらいに広げます。5秒かけてゆっくりと曲げ、5秒かけて伸ばします。
踵あげ運動
足を肩幅ぐらいに広げ、ゆっくりと踵を上げていきます。下ろすときも力を入れてゆっくりとおこないましょう。
有酸素運動
軽度な運動を一定の時間継続することで、新陳代謝などを促進します。ここでは有酸素運動の中でもおすすめの、ウォーキング(速歩)の効果的なやり方をご紹介します。
- 歩幅を少し広げて、少し速めに歩きます
- 歩くときには、肘を大きく振りましょう
- 視線は5メートルくらい先に置きましょう
- 少し息が早くなる程度のペースで約10~30分歩きましょう (途中で休憩を入れてもOKです)
歩行と認知機能の関係
71~93歳の2,257名の一日の歩行距離と、その3年後・6年後にそれぞれ認知機能を調査したところ、1日3.2キロメートル以上歩く群に比べて、1日400メートル~1.6キロメートルの群では、認知症の発症率が1.8倍も高かったことがわかりました(※1)。
ウォーキングは認知症予防に効果的なため、継続して長い距離を歩けるようにしていきましょう。
※1 参考資料:Abbott RD, White LR, et al:Walking and dementia in physically capable alderly men.JAMA,144791453,2004
認知症の方への対応ポイント
認知症の方への対応方法
前編でもご紹介した通り、認知症患者は年々増加しており、誰しもがなる可能性があります。また、現在ご家族に認知症の方がいらっしゃって、日々介助や介護をしている方もいるでしょう。
認知症は身近な症状であり、適切な対応の仕方が存在します。まずは、認知症の方には認知機能の低下があることを、正しく理解していることが必要です。そして、偏見を持たず、認知症は自分たちの問題であるという認識を持ち、支援するという姿勢が重要となります。
正しい知識を得るためには、「認知症サポーター」養成講座などがあります。興味のある方は「認知症サポーターキャラバン」で検索してみてください。認知症を正しく理解し、患者やその家族を温かく見守るサポーターになるための知識を得ることができます。
基本姿勢は3つの「ない」
認知症の方と接する際の基本姿勢は3つの「ない」(※2)で構成されています。
- 驚かせない
- 急がせない
- 自尊心を傷つけない
この3つの「ない」を心掛けましょう。
具体的な対応の7つのポイント
さらに具体的な対応の7つのポイント(※2)をご紹介します。
- まずは見守る
- 余裕を持って対応する
- 声をかけるときは1人で
- 後ろから声をかけない
- 相手に目線を合わせて優しい口調で
- おだやかに、はっきりした話し方で
- 相手の言葉に耳を傾けてゆっくり対応する
イライラすることがあっても怒鳴ったりせず、優しく穏やかに対応することを心掛けましょう。
※2 参考資料:全国キャラバン・メイト連絡協議会, 認知症を学び地域で支えよう:認知症サポーター 養成講座標教材 .2014
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