【第3回】正しい運動療法で心筋梗塞・心不全のリスクを減らそう~予防に大切な3つのポイント~

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心筋梗塞や心不全等の“心疾患”は命にかかわる病気で、2021年の厚生労働省の発表によると日本人の死亡原因の第2位になっています。また、一度発症すると再発の可能性が高いため、発症および再発予防が大切です。

第1回では心筋梗塞の基本と症状について第2回では心不全の基本と症状について紹介してきました。第3回となる今回は、心筋梗塞と心不全の予防に大切な3つのポイントと心臓リハビリテーションについてお話ししていきます。

心筋梗塞と心不全の予防に大切な3つのポイント

心疾患の予防には適度な運動が効果的ですが、薬や食事も重要です。どれか一つだけでは効果が少ないため、バランスよく取り組みましょう。

心筋梗塞に対しては、冠危険因子と呼ばれる高血圧・脂質異常症・糖尿病・高尿酸血症などのコントロールが重要になります。心不全に対しては、もともとの心臓病の治療に加えて、薬や食事により水分管理や塩分管理をおこない、体に水が貯まることを防ぐ必要があります。

予防には、以下の3つが大切なポイントとなります。

ポイント①:運動

  • 強すぎる運動は心臓病を悪化させるため、身体に無理な負担をかけないように注意
  • ウォーキングのような有酸素運動が効果的

ポイント②:薬

  • 血圧を下げる薬、血管を拡げる薬、尿を出す薬など
  • 医師、薬剤師の指示通り正しく内服する
  • 自己判断で中断しないようにする

ポイント③:食事

  • 脂質、糖質、塩分、水分の管理が重要
  • 脂身の多い肉は注意
  • 塩分は一日6グラム未満に
  • 心不全の場合は水分のとりすぎにも注意
  • 栄養不足にも注意が必要

運動療法の目的と方法

運動療法は生活習慣病を予防・改善し、心筋梗塞などの心疾患の発病を予防するとともに、再発を防ぐ効果があります。

発症予防

心筋梗塞・心臓病の原因となる肥満・高血圧・糖尿病・メタボリック症候群などの改善に効果的な運動療法を取り入れましょう。

  • 毎日30分以上、少なくとも週3日おこなう
  • 有酸素運動を中心に、毎日合計で30分間以上を目標に実施する
  • 運動療法以外の時間でもこまめに歩き、座ったままの生活を避ける

心疾患での寝たきり予防

心疾患で寝たきりにならず、健康寿命の改善に効果的な運動療法を取り入れるようにしましょう。医師や理学療法士の指導のもと、心電図などを確認し、安全性の確保をしながら、運動の強さや量を段階的に増やしていきます。

再発予防

心筋梗塞の再発予防や心不全による再入院の予防などに効果的な運動療法を取り入れましょう。

心肺運動負荷試験(CPX)の結果に基づいた処方による有酸素運動を中心に、1回30分程度、週3~4回、可能ならば毎日30分おこなうとよいでしょう。

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