数字で見る理学療法士〜統計データで国内・海外の状況を知ろう

リガクラボの連載記事「理学療法士の歴史」では、日本における理学療法士普及の歴史を紹介していますが、今回の企画では「理学療法士のこれまでと現在」を数字で振り返ってみたいと思います。

公益社団法人 日本理学療法士協会は発足から50年以上が経過し、当初の1,000倍以上の会員が所属するようになりました。

協会の会員数や理学療法士の国際比較まで、日本理学療法士協会の持つ統計データを基に、わかりやすくご紹介します。

男女ともに活躍できる職種に〜会員数の移り変わり

1966年に110名で出発した日本理学療法士協会は、2018年時点で約12万人の会員が所属する団体となりました。発足当初は、実に9割が男性会員でしたが、2000年ごろには男女比が約6対4の割合へと変化しました。今では、女性も大いに活躍できる医療専門職になっています。

※2019年4月1日現在

予防領域への広がり〜会員所属施設の分布

1966年に初めて理学療法士が誕生して以来、理学療法士はおもに医療施設に所属し、病気やケガをした方の社会復帰を支援してきました。現在では医療以外の領域で活動する理学療法士も増えていますが、今でも所属する会員が最も多い領域が医療施設です。

また、介護保険制度が導入された2000年前後からは、介護領域に所属する理学療法士が増えてきました。また、2014年から進められた地域包括ケアシステム(注:市町村や都道府県が、地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じて作り上げられる支援・サービス体制のこと)の構築により、介護予防も含めた高齢者の健康を支えるための活動に、理学療法士もより積極的に参加するようになったことも一因と考えられます。

人生100年時代と言われるようになった現在、理学療法士の領域は介護予防、腰痛予防など疾患を未然に防ぐための予防領域に広がりを見せています。

※2019年4月1日現在

日本全国に誕生している理学療法士〜地域別会員数

都道府県理学療法士会は、1967年の兵庫県理学療法士会の設立を皮切りに、各都道府県に次々と設立されました。1979年には、全国47都道府県すべてに日本理学療法士協会の地方組織が設置されました。現在では、会員が8,000名を超える都道府県理学療法士会も誕生しています。

※2019年4月1日現在

運動器と脳血管が大半を占める〜リハビリテーション料の算定割合

リハビリテーションは疾患別に費用の算定基準が定められています。2006年から疾患別リハビリテーション料が導入され、続いて2010年にがん患者リハビリテーション料、2018年度に廃用症候群リハビリテーション料が新たな算定枠として設けられました。

こちらのグラフでは、リハビリテーション専門職(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)が対象とする疾患がおおむね推測できます。対象疾患別の算定割合として運動器と脳血管で実に8割を占めており、続いて新設された廃用症候群となっています。

  • 平成30年社会医療診療行為別統計(旧:社会医療診療行為別調査)、報告書1 診療行為・調剤行為の状況、医科診療「第8表 医科診療 件数・診療実日数・回数・点数,診療行為(細分類)、入院-入院外別」<調査年月:2018年>
  • 上記グラフの「その他」には、目標設定等支援・管理料・摂食機能療法・視能訓練・認知症患者リハビリテーション料・リンパ浮腫複合的治療料・集団コミュニケーション療法料・特定保険医療材料料が含まれます。

日本は世界3位の理学療法士大国〜対人口割合の国際比較

ここで、国内から世界に目線を変えてみましょう。

世界各国における理学療法士の人数(注:ここでは理学療法士免許の保持者数を指していて、必ずしも世界理学療法士連盟会員ではなく、推定値を含む)を見ると、アメリカの198,686名が最も多く、続いてドイツ(136,000名)、そして第3位が日本(100,560名)であり、対人口比率から見ても、日本は理学療法士が活躍している世界有数の国といえます。

世界理学療法連盟に所属する各国では、理学療法士の数が10,000名を超える国が23か国ある一方、1,000名を下回っている国も42か国あり、対人口比率から見ても、世界的には理学療法士の数がまだ十分ではありません。

  • 世界理学療法連盟加盟国のうち、理学療法士数を提出している96か国のデータをもとに作成(理学療法士の数は、推定値を含む)。
  • 世界人口の数値は「世界人口白書2013」を用いた(ただし、台湾は記載がなかったため、外務省の「台湾基礎データ」を用いた。また、バミューダ、リヒテンシュタインは人口10万人未満のため人口の統計値に含んでいない)。

※2013年時点(推定値含む)

90年代以降に急増〜理学療法士養成校の数

1963年に国立療養所東京病院附属リハビリテーション学院が開設されたのを皮切りに、理学療法士養成校の数は徐々に増えてきました。

1990年代の規制緩和を受けて急激に増加に転じ、現在では261校の養成校があります。定員数も合わせて増加しており、今は毎年約10,000人の理学療法士が新たに生まれています。

※2019年4月1日現在

理学療法士として社会を支える

当初はほぼ医療施設に勤務していた理学療法士が、50年の時を経て介護領域、スポーツ領域、労働者の健康支援など多様な場で働くことができるようになりました。

他の専門職とも連携しながら、理学療法士としての専門性を活かすことが、支援を必要とする方、ひいては社会を支えることにつながります。これからも理学療法の普及と理学療法士の育成に努め続けます。