【番外編】暮らしに理学療法士の視点を:最適な福祉用具の選び方~福祉用具や住宅改修に利用できる制度とは
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この連載では、日常での困りごとを例に挙げて、その解決策と福祉用具の選び方をご紹介しています。今回は、福祉用具の購入・レンタルや住宅改修に利用できる制度についてご紹介します。
福祉用具の購入・レンタルや住宅改修に介護保険制度が使えることを知らない方や、利用できることは知っていても、まず要支援・要介護の認定を受ける必要があったり、誰に相談すればよいかわからなかったりして、二の足を踏んでしまう方も多いのではないでしょうか。
そこで、制度を利用して、困りごとにちょうどよい福祉機器や住宅改修を選定するために、介護保険制度を利用する際のポイントをお伝えしていきます。
今回も引き続き、株式会社くますまの河添竜志郎さん(理学療法士)に伺いました。
【特集】暮らしに理学療法士の視点を
まずは要介護・要支援認定を受けましょう
先日、私どもの介護ショップで実際にあったお話です。最近お父さまの足腰が弱くなったので、屋外用に歩行車の購入と家の中に手すりをつけたいという方からご連絡をいただきました。
詳しく伺うと、介護保険でレンタルや住宅改修ができることをご存じありませんでした。お父さまはデイサービスなどの通所にも行きたがらないし、介護保険は必要ないとお考えでした。
ですが、福祉用具のレンタル(貸与)や住宅改修ができることをお知らせしたうえで、ケアマネージャーをご紹介したところ、介護認定を受け、無事に歩行車のレンタルと手すりの住宅改修につながりました。その過程で「介護保険なんて」とおっしゃるお父さまに納得いただけたのは、「安全に一人でできることを増やして、自立した生活を送るためにぜひ」と申し上げた言葉だったようです。
介護認定は自分にはまだ必要ないとおっしゃる方もいらっしゃいますが、その利点を説明すると理解いただけることが多いものです。もしご家族の説明だけでは促しが難しい場合は、ケアマネージャーや理学療法士など、専門家に相談するとよいでしょう。
介護保険の対象ではない64歳以下で障害がある方、または40~64歳でも介護が必要な特定疾病の方、心身の不安がある方向けにもさまざまな制度がありますので、お近くの地域包括支援センターや役所の窓口で相談してみてください。また、住宅改修には各市町村独自の補助事業などもあります。対象ではないと考える前にまずは相談してみましょう。
要介護認定の仕組みと手順
出典:厚生労働省「要介護認定の仕組みと手順」一部改変
<注意事項>
要介護認定は、コンピューターでの一次判定、その後専門家による「介護認定審査会」において審査され(二次判定)介護度が決定されます。状態像はあくまでも参考としてください。
介護保険制度を利用するときのポイント
ご高齢の方の場合、何かのきっかけで身体の状態が変わることがあります。福祉用具のレンタルは、そのときの状態に適した別の福祉用具に交換できることが大きな利点です。
ですが、特に使い始めのとき、どのようなものをレンタル(貸与)すればよいかというのは悩ましいものです。レンタル事業所(福祉用具貸与事業所)には福祉用具専門相談員という資格を持った人がいるので、何をレンタルするとよいかは、福祉用具専門相談員やケアマネージャーに相談のうえで決めましょう。
レンタルの際は、一つの福祉用具でも、レンタル事業所側が機能や金額の違うものを複数提示したうえで決めるという制度になっていますので、説明をしっかり聞いて納得して導入しましょう。
金額には「貸与価格の上限」が設定されています(下記の厚生労働省のホームページをご確認ください)。複数の機種を提示し、なぜこれがよいのかという理由を、明確に説明し適正な価格の福祉用具を提案してくれる事業所と末永くお付き合いをしたいものです。
ただし、多くの福祉用具専門相談員は今の困りごとを解決する手段を提案してくれます。身体の機能や生活の変化などを見越した提案はできない場合も多いため、使ってみて上手くいかないときや身体や生活が変化したときには、地域で働いている理学療法士に相談してみてください。
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