【第8回】みんなのリハビリ体験記〜自分で歩き再び趣味を楽しみたい!目標を決め前向きに臨んだ80代父のリハビリ~

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連載「みんなのリハビリ体験記」では、ご自身やご家族が、病気やケガによるリハビリをこうやって乗り越えた、こんな素敵なエピソードがあった、現在前向きに取り組んでいる…など、読者の皆さんのリハビリに関する体験談を紹介しています。

第8回は、投稿者様のお父様のリハビリ体験記です。腰椎圧迫骨折から車いす生活寸前になりながらも、目標を持ってリハビリに取り組むことで、元の生活を取り戻しつつあるというエピソードです。また投稿者様も、脳梗塞の後遺障害をリハビリで克服した経験をお持ちです。こちらのエピソードも併せてご紹介したいと思います。

PROFILE

【投稿者】
お名前:中田 秀貴さん (61歳・男性

東京都在住

【リハビリを体験された方】
お名前:中田 武蔵さん (88歳・男性

兵庫県在住
リハビリのきっかけ:腰椎圧迫骨折

自分の足で歩き再び趣味を楽しみたい!目標を決め前向きに臨んだ80代父のリハビリ

転倒により腰椎圧迫骨折、車いす生活寸前の状態に

私の父は86歳の時に、自宅で体重計から滑り落ち尻餅をついて、腰椎を圧迫骨折してしまいました。そして、車いす生活寸前にまでなってしまったのです。整形外科からはコルセットを装着の上、安静にするようにと指示を受けました。

実は私も、8年前に突然の脳梗塞で倒れ、入院・車いす生活をしていた時期があります。その時に東京でお世話になった若手の理学療法士の方がいたのですが、なんと偶然にも父の住む兵庫に戻られていました。

こちらの理学療法士にすぐ相談したところ、在宅でのリハビリとして歩行訓練をしていただけるとのことだったので、週1回程度、父の訪問リハビリをお願いすることにしました。

歩行訓練に加えて、日々のリハビリも取り入れることに

理学療法士と歩行訓練に励む様子

歩行訓練は、最初は理学療法士に支えてもらいながら部屋で歩く練習をしました。その後少しずつ歩けるようになり、屋外での訓練に移行。歩行器(手押し車)から、杖歩行、自立歩行へとステップアップしました。

自宅でペダルを漕ぐ器具を使用した自主リハビリに取り組む様子

このほか、椅子に座ったまま足でペダルを漕ぐという、器具を使った自主リハビリを取り入れることにしました。足漕ぎペダルは、私が脳梗塞の生活期の自主的なトレーニングとして、エクササイズバイクを取り入れた際に効果を感じたことから、父にもやってほしいと思い設置しました。

また、NHKで毎日放送されている番組「テレビ体操」もリハビリに取り入れました。これで父は訪問リハビリがない日も、毎日の自主リハビリができるようになりました。

諦めずに続けたことで、趣味のゲートボールにも復帰

身近でリハビリに取り組む父を見ていると、辛くてしんどいだろうなと思いました。しかし、諦めずにリハビリを継続して歩けるようになって欲しいと、私は心から願っていました。

父のリハビリには、「自立歩行」と「ゲートボール復帰」の2つの目標を設定しました。目標がはっきりしたことで、父も毎日の自主リハビリを継続できたと思います。

そして、リハビリを継続したおかげで「自立歩行」が徐々に改善し、その後「ゲートボール復帰」も果たすことができました。「お父様の諦めない持続的なリハビリで、リハビリの貯金があったからこそ、ゲートボールがまたできるようになったと思います」と、理学療法士の方にも言っていただきました。

今年の春、父がリーダーを務めるゲートボールチームが神戸市のゲートボール大会で優勝し、秋の全国大会に参戦できることになりました。夏場は暑く、父の体調が優れなかったため、ゲートボールは少しお休みをしていましたが、現在は体力の回復に励みつつ全国大会の出場を目指しています。

父は一人暮らしで、腰椎を圧迫骨折した当初は日常生活動作も困難でしたが、今では自分の足で歩き、趣味のゲートボールにも復帰しています。父は高齢者でも目標を持ってリハビリに取り組めばまた元気になれると証明してくれたように感じています。

父のリハビリに役立った自身の脳梗塞のリハビリ体験

私自身、先述したように8年前に職場で突然脳梗塞に襲われました。半年間の入院、車いす生活、要介護3の認定を経て、その後リハビリに励み復職を果たしました。

入院当時の私は右足がピクリとも動かない状態で、医師には「生涯車いす生活になるかもしれないが、とにかく少しでも良くなるにはリハビリしかない」との診断を受けました。一時は絶望しましたが「嘆いていても状況は変わらない。リハビリを仕事だと思い、やり抜く」と心に決めました。

秀貴さんの歩行姿勢改善訓練の様子

そして復職から1年半後、脳梗塞専門のリハビリをおこなう施設に出会いました。ここでは自身の状態把握・再評価から新たなリハビリ目標が設定でき、2019年には5年ぶりに趣味のゴルフのラウンドに復帰、2020年には自身の脳梗塞リハビリ体験から、旅行企画やリハビリツアーの開発を行う会社を設立することができました。自分自身のこういった経験が、父のリハビリのサポートにも役立ったと感じています。

また、自身の経験を通じ、日本における回復期・生活期リハビリテーションは、欧米諸国と比較してシステム化・サービス化が遅れており、医療費負担増加などの問題も抱えていると感じています。リハビリを必要としている方やその家族に有効なリハビリ情報とサービスを届けることで、一歩一歩前に進んでQOLの改善ができ、人生を豊かにできるのではないかと思っています。

※みんなのリハビリ体験記に寄せられた体験談の内容は個人の感想であり、投稿者様自身でおこなった自主的なトレーニング等に関しましては、効果・効能を保証するものではありません。

おわりに

今回は、86歳の方の腰椎圧迫骨折のリハビリ体験記をご紹介しました。目標を持ってリハビリに励んだことで再び歩けるようになり、趣味のゲートボールを楽しむまで回復されたとのこと。リハビリを継続するためには、モチベーションを高めることがとても大切だと感じるエピソードでした。秋にゲートボールの全国大会があるとのことで、体調をみながら存分に楽しんでいただきたいと思います。

また、投稿してくださった息子さんも、脳梗塞によるリハビリを乗り越えた経験をお持ちでした。ご自身の経験を活かしてお父様を支えられたということで、ご家族はとても心強かったことでしょう。これからも、リハビリに励む多くの人に役立つお仕事を頑張っていただきたいと思います。

ご紹介した体験談が、現在治療中や闘病中の方、リハビリに励んでいる方の励みになりますように。
次回もお楽しみに。