【後編】理学療法士の歴史 社会貢献・国際貢献・被災地復興―活動の場がさらに広がる

写真:公益社団法人移行祝賀会で挨拶を述べる半田一登 日本理学療法士協会会長(中央)と協会役員
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日本における理学療法士の歴史は、高度経済成長期に突入した1960年ごろから始まり、職業として現在に至るまでに様々な歴史がありました。

前回は、地道な活動を着実に重ねて、日本の理学療法が世界に認知されるようになった昭和から平成にかけての時代を振り返りました。

最終回の今回は、その役割と貢献の幅をさらに多様に広げていった、2000年代以降の発展と取り組みについてお伝えします。

2000年(平成12年)~ 「理学療法の日」制定、理学療法士議員の誕生

2000年(平成12年)、理学療法士をより多くの人に知ってもらい、人々の健康に貢献したいという願いのもと、「理学療法の日」が制定されました。理学療法の日を含む「理学療法週間」では、全国47都道府県で関連イベントが実施され、その様子は当時のテレビでも取り上げられました。

理学療法週間のイベントは、1994年(平成7年)に13の都道府県理学療法士会で試験的におこなわれてから、わずか5年間で全国展開まで広げることができたものです。2014年(平成26年)からは、「介護予防推進キャンペーン」も全国一斉に実施されています。

理学療法の日

また、第45回衆議院議員総選挙が行われた2009年(平成21年)に、理学療法士の国会議員が初めて誕生しました。ここで、国政の舞台へ理学療法士が登場することになり、国民および会員の声を理学療法士の立場から届けることができるようになりました。さらに7年後、2016年(平成28年)の第24回参議院議員選挙では、同じく理学療法士資格を持つ参議院議員も誕生しています。

2011年(平成23年)~ 診療ガイドライン発行―理学療法の標準化を目指す

写真:理学療法診療ガイドライン(ダイジェスト版)

2011年(平成23年)には、「理学療法診療ガイドライン」が発刊されました。これは、理学療法士の増加とその就業分野の多様化が進むにつれて、あいまいになっていた理学療法の標準化が目的で、日本の理学療法の水準向上に大きく寄与しました。2020年現在、第2版の発刊を目指して準備が進められています。

理学療法ガイドライン

また、2013年(平成25年)には、日本理学療法士学会が設立されました。科学的根拠に基づいた理学療法の確立が求められるなか、専門分化した学術的な発展に合わせて、12の分科学会と5つの部門(注記:2020年現在は10部門に拡大)を設けて、「各分科学会・部門の精力的な活動」と「学会による組織的な広報活動」をとおした、理学療法の有効性の発信をおこなっています。

日本理学療法士学会
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