【第11回】教えて!初めての在宅介護~自分の休息を確保しながら両親を介護するには?短期入所生活介護(ショートステイ)~
-
1
2
リガクラボの連載「教えて!初めての在宅介護」では、初めての介護への疑問・不安についてお答えするべく、在宅介護に関する情報を紹介しています。
第10回の記事では、働きながら介護を続けるためのフレックスタイム制度や在宅勤務制度などについてご紹介しました。第11回となる今回は、働きながら在宅介護をする際に柔軟に利用できる介護サービスや制度についてお話ししていきます。
【特集】教えて!初めての在宅介護
PROFILE
今回の質問者:Dさん (47歳・男性 )
・認知症の母と、足腰が弱って介助が必要になってきた父の在宅介護をおこなっている。
・平日は正社員としてフルタイムで働いており、残業が時々ある。
・月2回程度の休日勤務がある。
・現在両親と3人暮らし
・母の要介護度:要介護3
・父の要介護度:要介護1
Q. 認知症の母と、介助が必要になってきた父と同居しています。両親とこのまま一緒に暮らしたいですが、仕事と介護の両立に少し負担を感じています。自分が休む時間も確保できるように、介護サービスを柔軟に利用したいのですが……。
A. フルタイムでお仕事をされながら、ご両親の在宅介護をされているのですね。ご自身の休息も取れるように、状況に合わせて利用できる介護サービスがあると心強いですよね。
そのためには、仕事や要介護者の状況に合わせて、施設などへ通う通所介護や、短期間施設に泊まる短期入所生活介護(ショートステイ)を組み合わせて利用すると、Dさんが休息する時間も確保できるようになります。
短期入所生活介護(ショートステイ)とは?
短期入所生活介護は、介護老人福祉施設などに短期間入所し、入浴、排せつ、食事など日常生活上の世話や機能訓練を受けられる介護保険サービスです。要支援・要介護認定を受けている人が利用でき、利用するには介護保険の自己負担、食費、滞在費などが必要になります。
このサービスは、利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、自宅で過ごす時間が多い利用者の孤立感の解消や心身機能の維持回復を目的としています。また、それに加えて介護する家族の負担軽減も目的の一つです。ただし連続利用日数は30日までとなっています。
短期入所生活介護の詳細や負担金額などについては、厚生労働省のサイトにも情報が掲載されていますので参考にしてください。
Q.短期入所生活介護というサービスがあるのですね。母がこちらを利用できると私も休息時間が確保できて、大変助かります。具体的にはどのように利用するイメージでしょうか?
A. Dさんがお仕事で不在の平日にお父様やお母様が通所介護(デイサービス)を利用、さらに定期的に介護度の重いお母様のみ、短期入所生活介護を利用してみてはいかがでしょうか。
Dさんはフルタイムで勤務され、時々残業もあるとのことですから、例えば平日にお父様は週2日、お母様は週4回、通所介護を利用して機能訓練や食事、入浴のサービスを受けるようにするのはいかがでしょうか。そして、Dさんの休息時間を定期的に確保するために、お母様は短期入所生活介護を月1回、土日にかけて2泊3日利用するといったイメージです。
また、Dさんの職場の両立支援に関する制度を利用し、平日は毎日定時に退社、休日勤務を免除できるように就業時間を調整してもらえれば、ご自身の休息時間を定期的に確保することが可能になるのではないでしょうか。さらに、介護サービスの契約や役所の手続等は、時間単位の有休制度を活用しておこなうことができます。
出典:平成29年度版「仕事と介護両立のポイント あなたが介護離職しないために」(厚生労働省)
なお、所定外労働の制限や時間単位の有給休暇の取得の運用は、職場によって異なりますので、上司や人事労務担当者等に相談・確認をしてみてください。
介護サービス・制度をうまく組み合わせることで、お父様やお母様が安心して過ごせて、さらにDさんも無理なく仕事と介護を両立していけるよう応援しています。
※介護サービスの内容などには地域差があります。
※この記事は2024年7月24日時点での情報で作成しています。
※この記事は、以下、厚生労働省を含む各コンテンツならびに各文献を参考に作成しています。
平成29年度版「仕事と介護両立のポイント あなたが介護離職しないために」(厚生労働省)
介護サービス情報公表システム 公表されている介護サービスについて「どんなサービスがあるの? – 短期入所生活介護(ショートステイ)(厚生労働省)
『医療福祉総合ガイドブック 2021年度版』.医学書院.2021.p168
-
1
2